芦屋釜復興工房

福岡県芦屋町の芦屋釜伝統技術復興工房

福岡県遠賀郡芦屋町にある芦屋釜の里、ここには茶の湯で使う鉄製の茶釜を鋳造する工房があります。芦屋釜復興工房は14世紀南北朝時代から伝わる鋳造技術の復興を目指し平成7年に町営の施設として開設された工房です。鋳造職人は16年間にわたり研鑽を重ね、その間町から準公務員として給与を受けながら順次独立した鋳物職人として自立していくのをサポートされています。その作品は高く評価されており8個の茶の湯釜が国の重要文化財に指定されています。江戸時代の初期に一旦途切れてしまった伝統技術を試行錯誤を重ねながら復興を目指しており、特に鋳型の製作では粘土に籾殻を混入させて焼き締める際の収縮防止を図るなど、古代中国の青銅鏡鋳型にも共通するものがあります。臨淄(りんし)斉国故城で2004年及び2007年に発見された大量の鏡笵には焼いた籾殻や繊維状のもの、木灰等が多量に混入し非常に軽いことが指摘されています。(2009鏡范ー漢式鏡の製作技術ー:奈良県立橿原考古学研究所他共編)ただ、中国鏡の鋳型の中にはレンガのように固いものもあるようで採土した粘土中に細かな岩石粒が含まれているものもあるようです。特別何かを混ぜ込まなくても採土された粘土をそのまま使った鋳型製作も推測されています。おそらく河川が運ぶ多量の土砂がこうした現象を作り出すのかもしれません。日本では鋳物に使う鋳型は、河口流域で採取された砂土に山粘土を混ぜ粘性を持たせて作るケースが多いようです。茶釜の場合は外型に粘土を塗り付ける際、目の粗いものから目の細かいものへ重ね塗りして半乾きの状態で箆等で押して文様をつけていくようです。この技法は青銅鏡鋳型の製作技法解明にも大いに参考となります。
詳細は芦屋釜の里ホームページまたはGoogle Arts & Cultureをご覧ください。
*臨淄斉国故城 : 中国山東省中部の淄博市。春秋戦国時代に斉都があった。

福岡県遠賀郡芦屋町大字山鹿1558-3